絵本作家 有田奈央さん(36) 脳梗塞
しかし、3週間が過ぎた頃から入院生活にも慣れ、時間的な余裕が出てくると、自分自身と向き合わざるを得なくなりました。
リハビリしていても、簡単な動作すらできません。もどかしくて、どんどんマイナス思考になり、一種のうつ状態になってしまったのです。酷い時は看病してくれた妹に八つ当たりしたり……。
それでも、理学療法士さんの励ましでなんとか歩けるようになり、入院から7週間で退院することができました。リハビリ専門病院への転院を勧められましたが、費用もかさむし、週2回、リハビリに通うようにして自宅療養を選択しました。
家に戻ると、日常生活すべてがリハビリです。いまも散歩は日課で、杖を持たずに、もたもたしながらも家の近所や公園まで。ゆっくりでもいいから、とにかく毎日継続して歩こうという気持ちで歩いています。
発症してから1年半。左手でグーチョキパーができるようになりましたが、コップやお茶碗を持つのはまだ怖いです。
病気になってからは、お年寄りや病気の方の立場で物事を考えられるようになりました。そして、妹をはじめ、周囲の人たちへの感謝の気持ちも増えました。絵本を作ることも心の支えになったと思います。