子供の「逆さまつげ」には弱視のリスクが…手術すべきタイミングは?
子供に多い目の病気に「逆さまつげ(睫毛内反症)」がある。本来、外側に向かって生えるはずのまつげが眼球に当たっている状態で、0歳児の約半数が該当するといわれている。通常であれば成長するにつれ自然に改善するが、場合によっては手術が必要になるケースもあるという。山形大学医学部付属病院眼科の林思音氏に聞いた。
■症状がなければ経過観察
「まぶたの内側には眼瞼牽引筋腱膜という組織があり、そこから穿通枝と呼ばれる皮膚を引き寄せる線維組織が枝を伸ばしています。逆さまつげのお子さんは生まれつき穿通枝の力が弱く、まつげが内側に向くのではないかと指摘されています。とりわけ幼児期は顔に脂肪がつきやすく、頬の膨らみによって下まぶたが押し上げられやすい。逆さまつげの9割は下まぶたに生じるといった報告もあります」
まつげが眼球に触れて角膜の表面が刺激され続けると、かゆみや痛みのほかに、まぶしさ、ゴロゴロ感、涙、充血、朝方に目ヤニの量が増えるといった角膜上皮障害の症状が現れる。さらに表面の傷が深くなると、角膜が白く濁る「角膜混濁」を起こして、視力の低下を招くという。