(108)母と生き別れて三十五年
大江戸は八百八町、絵草紙屋の数も八百八軒──とまではいかぬが、ここぞという所に必ず本屋はある。
「江戸中が艶っぽい女で埋め尽くされました」
どの店を覗いても耕書堂開板、喜多川歌麿画の、ぞくぞくするような美人大首絵一色、売れに売れている。
「ポペンを吹く娘を家…
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