著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

ビタミンDサプリメントはインフルエンザに効果あり?

公開日: 更新日:

「ビタミンDの摂取でインフルエンザが予防できる」というような記事を見かけます。それを検討した論文を紹介しましょう。この論文は2010年の5月に「米国臨床栄養学会誌」に掲載されたものです。

 08年12月から09年3月までの研究期間中に、日本人の小中学生430人(平均約10歳)が対象となりました。

「ビタミンサプリメント(1日1200IU)を服用するグループ」(217人)と、サプリメントと見かけは同じですが「薬効成分が含まれていないプラセボ(偽薬)を服用するグループ」(213人)の2つにランダムに振り分け、A型インフルエンザ発症を比較検討しました。

 その結果、A型インフルエンザを発症したのは、ビタミンDサプリメントを服用したグループで10.8%、プラセボを服用したグループで18.6%。プラセボに比べ、ビタミンDサプリメントを服用していると42%インフルエンザ発症が少ないことが示されました。

 この結果だけを見るとインパクトがありますが、この研究では参加者の脱落が多く、96人が解析から除外されています。この脱落者も含めて解析したら、結果の差は薄まってしまう可能性もあり、その効果はもう少し割り引いて考える必要がありそうです。

 また、B型インフルエンザ発症についての解析では、その有効性は示されておらず、インフルエンザ全体で解析すれば、明確な差は出ない可能性もあります。ビタミンDサプリメントに過度な予防効果を期待しない方がいいかもしれません。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  2. 2

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 3

    「終わらない兵庫県知事選」の行方…新たな公選法違反疑惑浮上で捜査機関が動く“Xデー”は

  4. 4

    楽天・田中将大は今や球団の「厄介者」…大幅負け越し&パワハラ関与疑惑に年俸2億円超ダウン

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    斎藤元彦知事が百条委トンズラで大誤算!公選法違反疑惑に“逃げの答弁”連発も「事前収賄罪」の可能性

  2. 7

    楽天・田中将大に囁かれていた「移籍説」…実力も素行も問題視されるレジェンドの哀れ

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    エースの留年が影響か?昨夏王者・慶応まさかの県大会16強敗退…文武両道に特別扱い一切なし

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇