治療は日々進歩 75歳未満の「がん死亡率」は減っている
また、2016年に新しくがんと診断された方は100万人に及んだそうです(対がん協会報)。
「患者よ、がんと闘うな」などの著者として知られる近藤誠医師は、「日本では、がん患者は増え続け、がんによる死亡者も増え続けている。検診でがんが発見され、早期治療が功を奏するなら、なぜ、がん死が減らないのだろうか」と言っています。だから、検診は受けるな、治療も受けるなと言います。これは大きな誤解です。
2006年、民主党(当時)の山本孝史議員が参議院本会議でがんにかかっていることを公表して「自分には時間がない」と訴え、がん対策基本法が全会一致で成立しました。策定された10年計画の目標は2つ。①「がんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少」、②「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の向上」です。
それから10年が経ち、それでもがんの死亡者数は増えてきています。この計画は無効だったのでしょうか? そうではありません。“中身”を見ればそれがわかります。
①「75歳未満のがん患者の年齢調整死亡率を10年間で20%減らす」とした目標は、17%減まで達成できています。20%減のために掲げた「喫煙者の半減」と「検診率50%達成」はいずれも到達できていませんが、それでも75歳未満の死亡率は減っているのです。では、なぜ死者数は増えているのでしょうか。実は、この10年間で75歳以上の人口が急激に増え続けたことによって75歳以上のがん死亡者が増え、結果としてがん全体の死亡者の増加となったのです。