著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

治療は日々進歩 75歳未満の「がん死亡率」は減っている

公開日: 更新日:

 また、2016年に新しくがんと診断された方は100万人に及んだそうです(対がん協会報)。

「患者よ、がんと闘うな」などの著者として知られる近藤誠医師は、「日本では、がん患者は増え続け、がんによる死亡者も増え続けている。検診でがんが発見され、早期治療が功を奏するなら、なぜ、がん死が減らないのだろうか」と言っています。だから、検診は受けるな、治療も受けるなと言います。これは大きな誤解です。

 2006年、民主党(当時)の山本孝史議員が参議院本会議でがんにかかっていることを公表して「自分には時間がない」と訴え、がん対策基本法が全会一致で成立しました。策定された10年計画の目標は2つ。①「がんの年齢調整死亡率(75歳未満)の20%減少」、②「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の向上」です。

 それから10年が経ち、それでもがんの死亡者数は増えてきています。この計画は無効だったのでしょうか? そうではありません。“中身”を見ればそれがわかります。


 ①「75歳未満のがん患者の年齢調整死亡率を10年間で20%減らす」とした目標は、17%減まで達成できています。20%減のために掲げた「喫煙者の半減」と「検診率50%達成」はいずれも到達できていませんが、それでも75歳未満の死亡率は減っているのです。では、なぜ死者数は増えているのでしょうか。実は、この10年間で75歳以上の人口が急激に増え続けたことによって75歳以上のがん死亡者が増え、結果としてがん全体の死亡者の増加となったのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    藤原竜也「全領域異常解決室」に「SPEC」ファンから“追い風”! 演技派・柿澤勇人の伸びしろにも期待大

  2. 2

    どうなる?「トリガー条項」…ガソリン補助金で6兆円も投じながら5000億円の税収減に難色の意味不明

  3. 3

    二宮和也が「ブラックペアン」続編を退所後の初仕事に選んだウラに“子供のお受験”問題

  4. 4

    ダルビッシュの根底にある不屈の反骨精神 “強いチームで勝ちたい大谷”との決定的な違い

  5. 5

    米女子ツアー「崖っぷち3人娘」はどうなる? 次戦でシード選手と最終戦出場者が確定

  1. 6

    ソフトB悪夢の本拠地3連敗「2つの敗因」…26イニング連続無得点よりも深刻なチーム事情

  2. 7

    竹内涼真「龍が如く」は酷評の嵐…実写化ドラマ“改悪”続出で、いよいよNetflix一強時代へ

  3. 8

    いまや大谷ドジャースこそ「悪の帝国」だ…カネ&人気&裏技フル活用でタンパリング疑惑まで

  4. 9

    大谷翔平を激怒させたフジテレビと日本テレビ…もっと問題なのは、情けない関係修復の仕方だ

  5. 10

    佐々木朗希の獲得に「第3の球団」急浮上…来春日本開幕でvs大谷ドジャースの可能性