治療は日々進歩 75歳未満の「がん死亡率」は減っている
たとえば、全国の約10分の1の人口を占める東京都では、2014年のがん死亡者の56.8%が75歳以上です。国や都道府県などでのがん対策は、75歳未満ではある程度功を奏してきたのですが、超高齢社会となって、全体のがん死亡者は増えてきた結果となったのです。
「高齢になるとがんが増える」原因は、長生きするとがんになる遺伝子異常が起こる可能性が増えるからです。また、遺伝子異常が起きてもそれをチェックし、打ち消す免疫能が低下することも一因です。
これまで、75歳以上の人口が急速に増えることについて予想はされていましたが、そのがん対策についてはなかなか触れられてきませんでした。増加する75歳以上の高齢者のがん対策をどうするか、高齢者の検診率を増やせるのか。また、がんが見つかっても、体力的に手術や抗がん剤などの治療が難しかったり、治療を希望されない患者さんがいるなど、高齢者ならではの個々の問題があります。
がん死亡者が増えていることは、「検診によるがんの早期発見がムダ」とか「治療がムダ」ということではありません。
この10年、がん治療が進歩していないということではないのです。