<2>検査を受けて晴れ晴れとした気持ちになれた
恐縮ですが、私自身の体験をお話しします。数年前、仕事のスケジュールがびっしり詰まっていたことに加え、思わぬストレスが次々と重なり、時々上腹部がキリキリと痛んでいました。食欲が落ち、少し食べてもすぐに胃がいっぱいになった気がしていました。
胃薬を飲んでみたものの、上腹部はいつも重苦しく、「ここに胃がある」と自覚するような状態で、「もしかしたら自分はスキルス胃がんかもしれない」と思うようになりました。進行したスキルスがんでは、胃の壁ががんで厚くなって胃袋が膨らまなくなり、たくさん食べられなくなるのです。
そこで、やっと時間を見つけて内視鏡の専門医に胃を診ていただくことになりました。内視鏡検査日の朝、病院に向かう電車の車窓から見る景色は、いつもと違って見えました。
「今日の帰りは、どんな気持ちで電車に乗っているだろうか?」
白衣を着ている時の自分とは違って、いよいよ検査するとなると、すっかり患者になっています。「つらい時は手で合図してくださいね」「はい、ごっくん、ごっくんして。はい、上手ですよ……」といった内視鏡医や看護師さんからかけられる言葉に対しても、普段は気づかない優しさが身に染みます。患者である私もモニター画面に映る自分の胃を見ながら行った検査でしたが、「胃の膨らみもよくて、潰瘍もありません。大丈夫ですよ」との診断でした。