B型慢性肝炎の新薬登場 治療や副作用はどう変わるのか?
■従来薬より腎臓、骨へのダメージ減
台湾で行われた大規模研究で、B型肝炎ウイルスの感染者はいくつかの疾患のリスクが上昇することが明らかになった。それによれば、感染している人はそうでない人に比べ、糖尿病、高血圧、高脂血症、腎結石のリスクが上昇していた。
「別の研究では、B型慢性肝炎で高血圧、糖尿病がある高齢者は慢性腎臓病の有病率も高く、また、骨粗しょう症も経過を見ると、B型肝炎ウイルスに感染している人の方が骨折のリスク、頻度ともに高かったのです」
新薬は「テノホビル アラフェナミドフマル酸塩錠(TAF)」(一般名)。慢性B型肝炎ウイルス感染症の成人を対象にし、1日1回の投与になる。この新薬のポイントは、従来の薬(テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩=TDF)に比べて、安全性が高いことだ。
「TDFは、血液中で分解されて腎臓尿細管へ取り込まれ、腎機能を悪化させる副作用が指摘されていました。しかし新薬は、消化管からそのままの形で血液中を通り、肝細胞へ運ばれます。そのため、腎臓へのダメージを大幅に軽減できるのです」