炎症性乳管がん<3>手術か放射線化学療法か選択を迫られる
乳がんの10年生存率はステージⅢで五十数%(日本乳癌学会)である。「私がなぜ?」という疑問を解消するため、原田さんはネット検索で多くのがん専門病院が公開している「乳がんの危険因子」について調べてみた。
母親や姉妹に乳がんの既往歴がある。妊娠の経験がない。初産年齢が30歳以上。初潮が早い。閉経が遅い。若い時代に放射線被ばくを受けた。アルコールの摂取。脂肪分の過剰摂取……。
「でも、私はこのような危険因子が一つとして当てはまらなかったのです。親族にも、がんにかかった人はいませんでした」
ただ、一人娘である原田さんのがん告知を追うように昨年、70歳を過ぎたばかりの父親が「胃がん」、母親が「肺腺がん」を告知された。両親とも幸い早期発見で、さっさと手術を済ませて現在は元気に生活しているという。
そんな原田さんの抗がん剤治療が5カ月を経過した一昨年9月、CT検査の結果を担当医師から告げられた。
「乳がんの悪性腫瘍が『10センチから2センチにまで縮小していますよ』と説明されました。このときはうれしかったですね」