一流アスリートも心筋梗塞に…その運動強度は間違っている
こう言うのは、東京都健康長寿医療センターの桑島巌顧問(循環器内科)だ。どういうことなのか。桑島氏に聞いた。
「例えば、マラソンやサッカーなどの持久力を問われる運動を繰り返すと、心臓から1回に送り出される血液量が少しずつ増えるため、心臓の容積が拡大し、肥大型心筋症になることがあります。多くは、いわゆるスポーツ心臓と呼ばれる問題ないタイプですが、まれに重大病につながることがある。そのキッカケが血圧の急上昇やボールや相手との衝突、不整脈などです」
8年前の8月2日、JFL松本山雅の松田直樹(享年34)は、練習中に急性心筋梗塞を発症。ウオーミングアップで15分間3キロのランニングをした直後の発作だった。2日後に帰らぬ人に。今回は九死に一生を得たが、最悪のケースだった。
■一度は運動負荷試験を
運動中の心臓突然死の発生率は、男性の方が女性より10倍高い。米国ではバスケとアメフト、欧州ではサッカーが最も高リスクといわれる。
「体の動かし方によって血圧は上下し、時には大きく上昇します。その影響は計り知れません。そこに不整脈が重なり、心臓を養う冠動脈が一気に詰まって急性心筋梗塞を起こすのが典型です。今のように暑い時季は脱水も起こしやすいので、二重によくありません」