前立腺<下>肥満が男性尿トラブルを助長…対策は4つある
テストステロンは男性ホルモンのことで、20代をピークに加齢とともに分泌が低下する。極端に低下すると、男性更年期障害のさまざまな症状が表れる。肥満は、そのテストステロン低下を助長して、前立腺肥大症の下部尿路症状を引き起こす要因になるのだ。岡田教授は、「メタボ」「うつ」「下部尿路症状」「ED(勃起障害)」などは、すべてテストステロンを媒介してリンクし、「脳・泌尿器・生殖器」の症状が連鎖して起こるという。
「精神的ストレスが強くかかっているうつ状態になると、脳の視床下部からの指令で下垂体から分泌される黄体形成ホルモンが出なくなり、テストステロンの分泌も減ります。するとテストステロン低下によってもうつ症状が出るので、日常の活動量が減るためメタボになってしまうのです」
テストステロン低下とうつ症状の出現の関係はこうだ。脳には扁桃体という部分があり、そこでは過去の恐怖や嫌な経験といったネガティブな記憶を保存している。通常、テストステロンはそのネガティブな記憶が意識に上がってくるのを抑える働きをしている。そのためテストステロンが低下すると、扁桃体から嫌な記憶が噴き出してしまい、うつや不安などの原因になるという。またテストステロンは、全身の血管内皮などから放出される「NO(一酸化窒素)」という物質を作り出す役割もしている。NOには血管を拡張させたり、平滑筋を弛緩させたりする働きがあり、全身のしなやかさを保つには欠かせない。テストステロンが低下すると、そのNOの放出も減ってしまうのだ。