脳梗塞は病院選びが肝心 最新の血栓回収療法ができるかだ
■治療直後から手足の麻痺が消えた患者も
血栓回収療法は前述の通り、カテーテルを使って行う。ステント型の血栓回収デバイスを用いて脳内の血栓を回収する。現在4種類のデバイスが認可されており、植田医師らは最新のものを使用している。
68歳の男性は左半身の麻痺と言語障害から発症2時間後に聖マリアンナ医科大学東横病院脳卒中センターへ救急搬送され、MRIで脳梗塞と診断。tPA静注療法と血栓回収療法が行われた。tPA静注療法では再開通に至らず、血栓回収療法で完全再開通となった。左半身麻痺は直ちに回復、2週間後には退院し自宅で過ごせるようになった。
「血栓回収療法では、50~60%の人が3カ月後に誰の介助も得ずに自立した生活を送れるようになります。本当にうまくいったケースでは、治療直後から、手足の麻痺や言語障害が完全回復しました」
血栓回収療法は、発症後8時間まで有効。最近は、脳梗塞の広がり具合によっては発症後24時間でも有効だと分かってきた。しかし、進行が速ければ8時間以内でも受けられない。だから1分1秒でも早く、血栓回収療法を実施する病院にたどり着く必要があるのだ。
「血栓回収療法を24時間365日受けられる病院は限られている。もしものことを考え、事前に調べ、家族とも共有しておいた方がいい」
救急隊員に希望を伝えれば、よほど遠くなければ希望通りの病院へ搬送してくれるだろう。