著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

意外なところから発見され生まれたクスリがいくつもある

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 クスリを創り出す際には、その候補物質となるものを探し出すことから始まる場合がほとんどです。多くは天然物(植物、動物、鉱物など)から探すのですが、なかなかうまくいかないこともあります。あるクスリの候補物質も同様で、研究者は世界中のたくさんの天然物を試しましたが、探し出すことができませんでした。ダメもと(やけくそ?)で、研究施設の裏の土を取ってきて抽出したところ、なんとそこから候補物質が見つかり、現在も臨床で使われている重要なクスリになったというエピソードもあります。

 他にも、研究者の「勘」がクスリの発見につながるケースもあります。昆虫に寄生する菌があるのですが、私がお世話になったある教授は、「昆虫も菌に侵食されたくないから免疫機能を発揮するだろう。逆に菌は昆虫に寄生したいわけだから、菌はその免疫を抑える物質を出しているかもしれない。もしそうだとしたら、これまでにない効き方の免疫抑制薬になるのではないか」と考え、最終的にクスリとなる物質を見つけ出しました。

 クスリが世の中に出てきて使われるまでには、膨大な労力と時間、お金が必要となります。場合によっては、偶然や勘といったものが必要です。ご自身が使っているクスリの歴史を調べてみるのも面白いかもしれませんね。

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