認知症の検査結果や診断内容の説明も必ず患者さん同席で行う
「本人抜きで、先生とお話ししたいのですが」
認知症を疑って来院した方のご家族から「本人不在面接」を希望された場合、私は基本的にお断りしています。それは、2回目以降の診察でも同じです。
面接は「患者さん第一」であり、また、面接での患者さんとご家族とのやりとりを見ることは、病態の理解と診断に役立ち、またご家族の支援が必要かを判断する糸口にもなるからです。
検査結果や診断の内容についても、ご家族だけに説明することは避け、必ず患者さん本人が同席の上で行います。
読者の中には、「認知機能が低下しているのなら、難しい説明を受けても理解できないのではないか」と思う方もいるかもしれません。
しかし認知症はゆっくり進んでいく病気であり、「言われたことを理解できなくなる」となるのは、大抵の場合において、かなり先。
一般的に、患者さんもご家族も医療関係者ではないわけですから、もとより専門用語は極力使わず、医学知識がない方でも理解できる説明の仕方を、私たちは心掛けています。
患者さんも同席で診断結果を説明するのは、患者さんとの信頼関係を築くことが目的。
さらに重視しているのは、患者さんやご家族に「認知症だからって、人生終わりじゃない」と伝えることです。