最新のがんマーカーは複数のがんを早期発見できる…名古屋大が発表
「胃がんかどうか確認するには胃カメラを用いますが、検査を受ける人の苦痛や検査費用の高額さのほか、麻酔や器具の挿入による粘膜の損傷といった検査そのものによる危険をある程度伴います」
胃がんの場合、確定診断には組織を採取(生検)し、病理検査でがんの有無を確認する。感度が高いSDF-4が一般の医療機関で導入されれば、採血結果をもとに内視鏡検査の必要性が高い人を見極める判断材料になることが期待される。
現在、研究グループは研究成果を国内特許に出願し、他の医療機関でも測定できるSDF-4の検査キットの開発に向けて企業と共同研究を進めている。ただ完成して、一般診療で使用可能となるまでには“壁”がいくつかあるという。
「今回の研究では限られた数の患者さんで検査を行い高い精度を示せました。しかし、実用化するにはより多くの患者さんを対象に診断精度を確認し、証明する必要があります。また、医療費の高騰が進む日本では保険適用の審査が非常に厳しいのが現状です。一日でも早く患者さんの早期発見に役立てられるよう、今後もさらなる研究、開発に取り組んでいきます」
がんが治癒可能な段階で発見される人が増えるためにも、早期の実用化を期待したい。