大阪「南港病院」の総院長「私がハイパーサーミア導入を決めたワケ」
近隣の医療機関から患者の紹介も
むろん、どんなに優れた治療法にも副作用はある。この治療法も加熱されると皮下脂肪に硬結が生じ、痛みが出る場合がある。しかし、多くは1~2週間でその痛みは消失し、後遺症も残らない。
三木総院長はハイパーサーミア導入の経緯をこう語る。
「導入の直接のきっかけは、私のがん体験です。実は1年前に膀胱がんと診断され、内視鏡による切除手術と、膀胱内にBCG(ウシ型弱毒結核菌)などを注入する治療を8回受けました。痛みで眠れない夜が続いて、大変苦しかった。幸い再発していませんが、いまも心配しています。それを知人である大阪の公立総合医療機関勤務のがん治療専門医に話したところ、『再発したら放射線治療やハイパーサーミア治療がある』とアドバイスされ、それが頭に残っていたのです」
その後、この知人のがん治療専門医から聞いた話が決定打になったという。
「『本来ならウチが導入したいが予算がない』と言うのです。地域住民のため公立病院ができないなら、ウチがやろうという思いから導入を決めました。がん治療専門医が行うがん標準治療は、絶えず最新知見を取り込み定期的に見直しを行っている。しかし、がん患者さんは孤独で、治療と治療の間に不安や焦燥感を感じるし、効果が証明されて継続的に受けられるがん補助療法があれば受けたいと思うものです。私もそうでした。まして病状が進行して治療手段が少ない患者さんはなおさらです」
ハイパーサーミアの導入が決まると、大阪の公立医療機関をはじめ、近隣の医療機関から患者の紹介があるという。
「将来的には、地域のがん補助治療の中心的存在になれれば、と考えています」