「歯ぎしり」は歯周病を悪化させ全身の健康を害する危険あり
最近の研究で、歯ぎしりは深いノンレム睡眠から浅いレム睡眠に切り替わる時間帯に起こりやすいことが分かっているが、原因ははっきりしていない。ストレス、歯並びやかみ合わせの不良などが関係していると考えられている。
「歯ぎしりは、強い力で上下の歯をこすり合わせるので、ギリギリ、カチカチといった音で周囲に不快感を与えるだけでなく、体にさまざまな悪影響を及ぼします。歯が大きくすり減って痛みが生じたり、歯が欠けたり、割れてしまうケースも見られます。また、歯周病がある人に歯ぎしりがあると、歯周病の進行が加速して悪化する危険が高くなります。歯ぎしりで歯茎に大きな力がかかり、歯を支えている歯槽骨の吸収が急速に進むためです。ほかに、顎の痛みや顎関節症、頭痛や肩こりの原因にもなります」
■マウスピースによる対症療法が有効
口の中だけでなく、全身の健康のためにも歯ぎしりを放置してはいけない。ただ、いまのところ根本的に歯ぎしりを抑える治療法はない。
「歯ぎしりの対症療法として、『ナイトガード』と呼ばれるマウスピースを作製し、就寝時に上の歯に装着する方法が一般的です。歯にかかる力を分散させ、歯の摩耗を防いだり、歯が欠けたり詰め物やかぶせ物が外れてしまうことを防ぐために効果的です。マウスピースは歯科医が歯型を取り、患者さんの歯の大きさや傾きなどを確認して、フィット感を調整しながら作製します。歯科医が診察してマウスピースが必要と認めれば健康保険が適用され、3割負担で5000円程度で作製できます」