筋力が衰えている高齢者でも安全に歩ける義足はあるのか?
コンピューター制御膝継手の価格は?
それが近年、膝継手は高機能化が進んでいます。2015年ごろから国内でも広く流通しているのが「コンピューター制御膝継手(立位安定型)」です。本体に内蔵されたマイクロプロセッサーが、歩行のタイミングやスピード、足の向きなど利用者の歩行状況を瞬時に把握して、膝継手の動きを適応させる機能が搭載されています。立位の保持を検知すると、膝折れしないよう自動的に膝関節にロックがかかるので、安全性の高い歩行が行えるのが特徴です。実際、筋力が弱く義足での歩行が難しいと言われた高齢の方が、立位安定型の使用で問題なく歩かれているケースが多く見受けられます。
ただ、コンピューター制御膝継手はあくまでも日常生活用に開発されたものであることから、フリークライミングやパラシュートなどの激しい運動では使用できません。本体は定期的に充電する必要があり、製品にもよりますが、通常、1度のフル充電で約2~5日の使用とされています。
コンピューター制御膝継手の価格は、およそ300万円です。使用を検討する際はかかりつけ医に相談し、ご自身が希望される切断後の生活に必要かどうか判断してもらうといいでしょう。
▽寺門厚彦(てらかど・あつひこ) 1995年聖マリアンナ医科大学卒業。2005年順天堂大学リハビリテーション医学助教を務め、06年公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンター付属診療所嘱託医。19年順天堂大学足の疾患センター装具外来を担当。