認知症で問題行動を起こす患者にはどんな対応をするのか
「ビックリしました。まるで別人です……こんなに良くなるんですね。表情がまったく変わりました。本当にありがとうございます。うれしいです」
85歳の女性が当院に入院されてから1週間後、ご家族からこんな言葉が聞かれました。
その患者さんは大きな脳梗塞を発症後、右片麻痺、嚥下障害、失語症、高次脳機能障害が生じ、経管栄養で全介助の状態でした。リハビリや介護も拒否して、特に感情障害と精神症状が強い状態でした。
このため、治療を受けていた前の病院で「脳血管性認知症によるBPSD(認知症の行動・心理症状)」と診断されていました。
認知症の治療は「環境調整」「関わり方」「内服治療」の3本柱です。当院では24時間365日看護ケアをするため、外来診療でわからない問題点がすべてわかります。
患者さんの状態を評価して、対策して、治療して、どこまで回復できるか、安定した生活を送れるようになるか、が勝負です。
前の病院では、夕方から体動が激しくなり、夜間は職員が付きっきりで、まとまった睡眠もとれなかったといいます。しかも、失語症で意思の疎通は困難。毎晩深夜帯に自分で服を脱いで裸になり、排尿や排便も手で触るため、ベッドシーツやベッド柵が糞便まみれになり、毎晩のシーツ交換が大変だったそうです。