(5)心臓弁膜症の手術は心臓を停止して行われる…1日10万回開閉する弁が壊れる
「目の前の出来事は、すべてが原因であり、何らかの出来事の結果ではない」という考え方です。これは「目の前の出来事の原因を探っても意味はない」という考え方です。スピノザはさらに「その出来事があなたの目の前で今現実に起こっているのは神の仕業である」と説きます。なるほど、わかったようなわからないような。私はスピノザのこの考え方によって、「ネコがどうしてこんなにかわいいのか?」という問いの答えを得た気がしました。
さて、僧帽弁は上唇と下唇のような2枚の弁尖でできています。閉鎖不全症では漏れている箇所は、たいがい1カ所だけ。歯医者さんで麻酔をしてもらって治療を受けた後、唇の一角がしばらく麻痺をしていて、水を口に含んだらそこから漏れてしまう。これと似たような現象が僧帽弁に起こっているのです。漏れているところを切り取って縫い合わせて「なかったこと」にしてしまう、という手術が僧帽弁形成術です。たいがい、これで治ります。つまり人工弁に換えなくても大丈夫、ということです。この手術は人工心肺(心臓と肺の働きをする装置)を必要とし、必ず心臓を停止させなければならない、というものです。