「ガルガンチュア」クレムリンで受賞したロシア民謡歌手に癒やされる
戦後の闇市からはじまり、作家や映画関係者など多くの文化人を魅了しながらにぎわってきた東京・新宿ゴールデン街。猥雑でありながら、浅薄な若造を受け入れない孤高の渋さがあった。それが今や、「誰でも歓迎」の優しい街に変わりつつある。だからこそゴールデン街らしい最高にカッコいい店に行っておきたい。いや、行くべきだ!
まず攻めたいのがここ。ジャーナリストの立花隆氏がオープンし、作家の中上健次に愛された「ガルガンチュア」だ。立花氏から店を買い取り、店を切り盛りしているのはロシア民謡の歌い手であるタンコさんこと、石橋幸さん。毎週日曜日に生ライブをするほか、店番もこなしている。御年80歳! 年齢を感じさせない力強く、チャーミングな歌声でカウンターに居並ぶ客を魅了する。歌声喫茶でロシア民謡を歌っていた世代はもちろんのこと、20~30代のタンコさんファンもちらほら。
「ロシア民謡などわからん」という人も心配なし。タンコさんが歌の前に明るく楽しく教えてくれる。まるで一人芝居のように豊かな表情や歌唱表現に、誰もが引き込まれてしまうはずだ。