野菜と肉が混然一体…「亀戸ぎょうざ錦糸町店」の餃子にはねっとりとした重量感が
油ネットリのカウンターが歴史を物語る
さて、そんな錦糸町の南口周辺で一杯やっていたが、欲求不満を抱えながら猥雑なエリアをぶらぶらしつつ、腹も減ってきたので、「亀戸餃子」の錦糸町店にもぐりこむことにした。
亀戸餃子は亀戸本店と両国店などがあり、本店創業は昭和28年。アタシは場外馬券売り場に近い錦糸町店がお気に入り。土日は馬券片手のオッサンがビールと餃子でおだを上げている。そんな雰囲気が好きで通っている。錦糸町に比べると本店も両国店も客層はお上品。だが、最近は錦糸町店も土日は若いカップルや観光客風外国人が列に並んでいることがある。かつては店内の酔ったオッサンたちが不思議なものでも見るような目で見ていたが、今ではそんな光景も珍しくなくなった。
今日は行列もなく、すぐに座ることができた。早速、老酒(250円)と餃子(300円=写真)を2枚注文。磨いても落ちない、油ネットリのカウンターが歴史を物語る。老酒と同時に1枚目の餃子がやってくる。早! やっぱりこのタイミングでしょ。ところで、アタシはまずい餃子はないと思っている。が、逆に本当にうまい餃子も数えるほどしかないと思っている。亀戸餃子はそのひとつ。一口で食べられる小ぶりなサイズだが、中身の餡は野菜と肉が混然一体となり、ねっとりとしていて重量感がある。これが癖になる。1皿目は洋がらしで。残り1つになったところで2皿目が到着。次はラー油で味変。カウンターのお兄さんが「老酒は?」。目で促す。もちろんお代わりじゃ。気が付くとカウンターはほぼ満席。若いサラリーマンやカップル。学生風など多種多様な客が精力的に飲み食いしている。もうちょいイケそうなアタシはチャーハン(650円)かラーメン(550円)のどちらで締めようか悩んだ末、結局、3枚目の餃子と老酒で締めることにした。
えっ、締まってないって? じゃ、ほかの店で締めることにしよう。せっかくだから浅草行きのバスに乗ってみるか。締めは浅草で。アタシは田中小実昌よろしくバスに揺られたのでした。
ちなみに亀戸餃子は休憩なしの通し営業、カード・電子マネー不可、現金のみ。そして全席喫煙可能なのは錦糸町店だけ。どうです? まっとうな昭和の店でしょ。(藤井優)
○亀戸ぎょうざ錦糸町店 墨田区江東橋3-9-1