サントリーウエルネス 沖中直人社長(1)高齢者とJリーグを結ぶプロジェクトが共感を呼ぶ
“推し”の選手を応援して元気に
ところが、入所者たちは瞬く間に熱心なサポーターになっていく。その効果は想像以上だった。
“推し”の選手を応援することで、トキメキを取り戻すようになった。職員の指導で行う体操では上がらなかった腕が、試合の応援では、「イエーイ」と勢いでグンと上がったという事例もある。
こうして高齢者たちにワクワク感が生まれ、心身ともに元気になっていったのだ。
この取り組みは同社のサプリメント事業などとは一線を画し、社会貢献活動として推進している。
同社は、健康でありたいと願う多くの顧客に健康食品を提供してきた。しかし、人生100年時代を迎えると、病気と無縁ではいられなくなる。
「そうなると、体に不具合を抱えるようになっても、いかに心がワクワクして自分らしく生きられるかということが大切になってくるのではないか」と、沖中は思った。
「健康寿命から幸福寿命という考え方に広げて、予防から共生という領域まで、われわれの企業活動を広げていく必要があると思っているのです」
その一環として始めた「Be supporters!」は多くの共感を呼び、3年近く経った現在では、サポーター数は全国160施設、延べ約6000人、参加するJリーグクラブは20チームに膨れ上がっている。 =つづく
(ジャーナリスト・林美保子)