「ブラックモンブラン」竹下製菓が最大の危機に…事業拡大の矢先、右腕の夫と会長の父に先立たれ
1969年の発売以来、九州だけで累計11億本を売り上げたご当地アイス「ブラックモンブラン」の竹下製菓(佐賀県小城市)が今年1月、悲しみに包まれた。
2016年に34歳で父・敏昭さんから社長のバトンを渡された創業家の一人娘、竹下真由さんと二人三脚で経営に携わっていた夫で副社長の雅崇さんが、41歳の若さでこの世を去ったのだ。くも膜下出血による突然の別れだった。
さらに4月には、難病で入退院を繰り返していた敏昭さんが亡くなり、ブラックモンブラン発売55周年の節目に経営の中枢を立て続けに失う事態に見舞われた。
「父の体調が芳しくなかったので、夫とともに万一に備えて覚悟をしていたときに、まさか夫のほうが先に亡くなるなんて、初めはその事実を受け入れることがなかなかできませんでした。しかし、いつまでも現実逃避して泣いてばかりはいられないと、我に返りました」(竹下真由さん)
雅崇さんとの出会いは、真由さんが東京工業大学卒業後に就職した外資系コンサルティング企業だ。同期入社の2人は、1カ月の交際を経て結婚。竹下家の婿養子となった雅崇さんが、真由さんの後を追うように14年に竹下製菓に入社。真由さんが5代目社長に、雅崇さんが副社長に就任したことで事業はうまく橋渡しされ、将来に向けて盤石の体制が整った。
世代交代した竹下製菓は、製造時のロス削減など事業の根本的な見直しや、事業承継に悩む企業との資本提携などで事業拡大してきた。20年にアイス製造のスカイフーズ(埼玉県幸手市)を、22年には生クリームパンで知られる清水屋食品(岡山県岡山市)を完全子会社化した。
グループの売上高はこの数年でおよそ2倍まで増加。真由さんの右腕となった雅崇さんの働きが大きかった。