過去最高益喧伝の裏で…景気は混沌、下請け企業の賃金上昇は実現するのか
また、正社員の賃上げ率が、「同一労働、同一賃金」でストレートに派遣社員やパート、アルバイトなどの賃上げ率に波及するだろうか。ましてや下請け企業、孫請け企業に波及するとは思えない。
政府の目指す教科書的な「賃上げと物価上昇」の好循環だが、現状はどうか。厚生労働省が3月7日に公表した1月の毎月勤労統計(速報)によると、実質賃金は前年同月比0.6%減少し、22カ月連続のマイナスとなった。一方、消費者物価指数は前年比2.5%上昇である。
総務省が3月8日に発表した1月の家計調査によると1世帯(2人以上)当たりの消費支出は28万9467円と物価変動の影響を除いた実質で前年同月比6.3%減少した。マイナスは11カ月連続である。下げ幅は21年2月(6.5%)以来、約3年ぶりの大きさとなった。
去年1年間の生活保護の申請件数は前の年より7.6%増えて25万件を超え、この10年余りで最も多かった。東京商工リサーチが3月8日に発表した2月の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は前年同月比23.3%増の712件。2月に700件を超えるのは8年ぶりで、前年同月を上回るのは23カ月連続である。