WECARS(上)主役は企業再生ファンド 再建した暁に伊藤忠に引き渡す
議決権ベースの株式保有比率はJWPが95%。伊藤忠側は5%。新会社のオーナーは伊藤忠ではない。主役はJWPだ。
新会社の社長には英タイヤ小売り最大手を立て直した経験などを持つ伊藤忠商事元執行役員の田中慎二郎氏が就任。取締役7人のうち4人がJWPから出た。出資額と取締役はJWPが過半数を占める。新会社はJWPの会社なのだ。
どうして、こんなややこしい仕組みにしたのか。新会社は伊藤忠の住生活カンパニーの持ち分法適用会社となり、伊藤忠は議決権比率に応じた損失を担うことになる。つまり、何が起ころうと伊藤忠の決算への影響は限定的なのだ。
BMは不正発覚後、毎月赤字で資金の流出が続いている。止血したうえで黒字転換させ、金融機関から融資を受けられる環境を整えるのがJWPの役割。伊藤忠は2~3年後をめどに、JWPから新会社の全株式を取得し、完全子会社にする方針だ。
新会社の設立に伴い、BMの社名はBALM(バーム)に変更され、債務処理や損害賠償などの対応に当たる。BMの全株式を持っていた創業家の資産管理会社ビッグアセットはSPCに全株式を譲渡した。譲渡額は実質、無償に近かったと伝えられている。JWPがSPCを買収し、BMの存続会社バームの100%株主となった。