著者のコラム一覧
重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

“バーバリーロス”乗り越え7期ぶり黒字転換も…三陽商会にのしかかる経営課題

公開日: 更新日:

 因果応報──というべきか。それともリストラされた社員らの怨念か。

 2015年に40年以上にわたって続いた三陽商会とのライセンス契約を打ち切り、三陽を奈落の淵にまで追い込んだ英高級ブランドのバーバリー・グループ。そのバーバリーが今、苦境に立たされているという。

 片や三陽は23年2月期に7期ぶりに営業損益の黒字転換を果たすと、24年2月期には新型コロナ禍明けのリベンジ消費と好調なインバウンド需要の流れに乗って36%増益を達成。今期も33億円と8%超の利益成長を実現する見込みだ。

 バーバリーが先週発表した今年4~6月期の既存店売上高は4.58億ポンド(約930億円)。前年同期に比べ2割超落ち込んだ。中国を柱とする最大市場のアジア太平洋で23%減らしたのをはじめ、北南米も同じく23%ダウン。EMEIAと呼ばれる欧州・中東・インド・アフリカも16%後退した。プラスだったのは「6%伸びた日本だけ」(ロンドン市場関係者)だったとされる。

 中国景気の低迷に、世界的な“粘着インフレ”で高額品に対する消費者の財布のヒモが固くなったのが主因。これにアウトレットの多用に伴う値引き販売によるブランド価値の低下も重なった。同社によれば足元の7月も事態が好転する兆しはなく、このままでは25年3月期上期は「営業赤字に転落するのは必至」だとしている。このため通期の配当は停止。事実上のCEO解任などトップ交代まで余儀なくされた。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動