国交省は「物件情報の囲い込み」に規制強化も…不動産業界でより巧妙化する“裏金づくり”の手口

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「なぜ今までこれが処分対象ではなかったのか」。世間からはそんな声も上がっている。

 1月から国土交通省は「物件情報の囲い込み」を新たに処分の対象に加えた。「囲い込み」とは、売り主から物件を預かった不動産業者が情報を独占し、自社で買い主を見つけ両手取引を狙う行為のこと。両手取引なら手数料が最大で倍に増える。

 一部の業者による悪質な商慣行は、長年、業界の課題とされてきた。物件情報を長期間抱え込み、特定の宅建業者に市場価格を下回る価格で売却。その見返りとして営業社員がキックバック(不正な裏金)を受け取るといった取引も水面下で横行しているといわれる。売り主には「今の価格では買い手が見つからない」などと言って、安値に誘導するのである。

 2023年には、大手不動産会社の幹部による不正な取引が発覚した。この幹部は、売り主から仲介を依頼された物件を、馴染みの不動産会社に相場を下回る安値で売却。その差額の一部をキックバックとして受け取っていたが、収入を申告していなかった。この不正に対して国税は申告漏れを指摘したものの、それは税務上の処分にとどまった。不動産取引の適正性を監督すべき宅建業法上の処分は行われなかったため、幹部は会社から解雇後すぐに不動産業者として独立開業している。

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