農相が備蓄米の追加放出表明も「中小の米屋には回って来ない」…廃業ラッシュで地域の安定供給が滞る恐れ
京都府舞鶴市の「まつもと米穀」は、在庫が底をつき営業を続けられなくなったことで、新米が出回る今秋までの閉店を決めた。同社の松本泰社長は備蓄米の追加放出について、こう見解を示す。
「私たちも関係業者などと交渉したのですが、備蓄米を卸してもらえませんでした。現在の流通の仕組みを変えない限り、備蓄米は中小の店には回って来ないでしょう。我々の店では、一定の品質のまとまった量のコメを確保したい地域の飲食店や病院などにも、コメを販売していました。末端の米屋にまでコメが行き届くようにしなければ、こうした地域のコメの安定供給が滞ってしまいます」
もっとも、備蓄米が入荷したとしても、米屋の経営が改善するわけではないという。
「米屋は、さまざまな製品を自分の店で精米し、その差益で商売をしています。備蓄米はすでに精白米の状態で届くので、売っても薄利にしかならない。精米による店の特色などを出すこともできず、品質へのこだわりといった米屋本来の仕事とかけ離れてしまいます」
備蓄米の追加放出で、実際にコメが安くなるのかも不透明だ。米流通評論家の常本泰志氏はこう言う。