著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

政治・軍事指導者たちの中で“真の忠臣”は誰だったのか?

公開日: 更新日:
もう一度、御前会議の開催を希望したのであった(御前会議で採択された「帝国国策遂行要領」の部分。「対米(英蘭)戦争ヲ辞セサル決意」「戦争準備ヲ完整ス」などと書かれている=外交史料館蔵)

 天皇はハルノートを受け取ったにせよ、明確に開戦の感情を持つに至ったわけではない。大本営政府連絡会議に出席して、戦争の可否を決める軍事指導者たちのいきりたつ様子とは全く心情を異にしていた。「開戦やむなし」と「避戦は無理なのか」のせめぎ合いだったのである。

 開戦の場合、大本…

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