著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

12月8日開戦の日に元閣僚らは「日本に勝算はない」と見抜いていた

公開日: 更新日:
日本海軍航空隊の真珠湾攻撃で炎上する米戦艦「アリゾナ」=1941年12月8日(ホノルル・アリゾナ記念館蔵)

 若槻の発言は、いざ戦争になったなら精神力は心配ないにしても、物質面で長期戦に耐えられるかを慎重に検討しなければならないと前置きした上で、次のような意見を天皇をはじめ内閣の面々に突きつけた。

「帝国の自存自衛の必要とあれば、仮令の敗戦を予見し得る場合と雖も、国を焦土となして…

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