女子ジャンプを必死に支えてきた 渡瀬あゆみ「父娘貧乏物語」
「正直、競技を続けるどころじゃない状況にまで追い詰められました。練習していても不安ばかりが募り、集中できないこともありました。次の所属先が決まらないため、ハローワークにも通いました」(渡瀬)
代表クラスの選手ともなれば、年間200日は合宿や海外遠征などに出なければならない。就職しようにも、正社員として働くのは不可能。
「面接に行っても、理解してくれる会社などありませんでした」(渡瀬)
■貯金を切り崩し
全日本スキー連盟から遠征費の補助を受けてはいたものの、それでも費用の半分程度は自己負担。今はスキー用品メーカーの支援を得ているものの、用具代も含め年間で300万円近くは貯金を切り崩したり、親類などから工面して何とかやりくりしていたという。
現在、支援を受けている調剤薬局大手のアインファーマシーズへの所属が決まったのは昨年の8月。契約社員と同等の待遇で、競技活動は全面的なバックアップを受けている。
「今年の4月には契約が切れますが、その後どうするかはまだ決めていません」(渡瀬)
今季W杯第3戦(12月22日、ドイツ)ではスーツの丈が国際スキー連盟の規定に違反しているとして失格になった。
W杯の結果次第で、日本の出場枠が増える可能性もある。何とか五輪キップをつかんでソチの空を飛べ。