今季3位の阪神と日ハム 過去10年成績“雲泥の差”の理由
日ハムはそうやってその年、最も実力があると判断した選手は障害があっても指名する。メジャー挑戦を公言していた大谷(20)はもちろん、巨人と相思相愛といわれた長野(29)も菅野(24)も取りにいった。
そこへいくと阪神のドラフトはまず、競合を避けようとする傾向がある。藤岡(ロッテ)や菅野(巨人)を避けて伊藤隼太(25)を指名した11年のドラフトが典型だ。
育成面で顕著なのは冒頭の今成の例。日ハムは鶴岡(33=現ソフトバンク)、大野(27)に続いてルーキーの近藤(21)がモノになりそうだった。当時3番手だった今成がいれば、近藤の出番は減る。近藤を育てるために、あえて今成は放出した。トレードを単なる戦力補強でなく、若手育成や新陳代謝の手段としても使う。
一方の阪神はトレードを手薄なポジションを補う手段としか考えない。定見なく次から次へと補強するから、生え抜きの若手は出場機会のないままファームで埋もれる。
■対照的な両チームのGM
フロントの実態は180度異なる。日ハムはドラフトと育成を2本柱にフロントが戦力を整え、それでやってくれる人を監督に据える。栗山監督(53)によれば「フロントは監督の権限を奪う」とか。梨田前監督時代がいい例だ。梨田監督(61)がベテランや中堅の起用にこだわり始めると、フロントがそれとなく若手の起用をプッシュ。それでもベテランに固執すると、梨田監督が使いたがる選手をトレードで放出。梨田氏は「ここのフロントはオレが使いたがる選手を出すのか……」とボヤいたという話もある。指導者経験のない栗山監督の抜擢も、フロントの戦略を忠実に進めてくれる人材と判断したからだ。