モリタカ的14年プロ野球最大の事件 ヤクルト山田哲人に“グラゼニ”を見た!
小川前監督が開幕から二塁のレギュラーだった田中浩康を控えに追いやった際、「たしかに山田の期待値は高いだろうけれど、守備も打撃も安定感のある田中を使ってくれたら」と思っていたファンもいたはず。僕もそのひとりだった。
しかし山田は起用に応えて大活躍。代打稼業に専念することになった田中は、今オフの契約更改で1億2500万円だった年俸が40%ダウンの7500万円に激減。たったの1年で山田に給料を追い越された。プロ野球には常に席の取り合いがある。二塁というポジションは一つしかないのだから、勝負に敗れればベンチに追われる。ホント、怖い世界だとも思った。
僕は「グラゼニ」を描きながら、マンガ家である自分と野球選手を重ね合わせているところもある。お互い個人事業主として、「才能」というアヤフヤなものに乗りかかり、商売をしている。
マンガの世界も雑誌の数、連載の枠は決まっている。ベテラン作家が売れなくなって若手に追いやられ、無職になることだってある。
それでも僕がマンガ家を続けているのは、夢やロマンがある商売だと思っているから。社会に適合できずに“ノラ犬”のようにさまよい歩いていた人間でも、ペン一本で「先生」になれる。作品を読んで面白いと思ってもらえることは、本当にうれしいものだ。