松坂も中島も故障離脱 「補強失敗」懲りない球界に識者が苦言
これはフロントの責任が大きい。オリックスは総額41億円をかけたにもかかわらず、新戦力が機能せず最下位に低迷。一発のある長距離打者やポジションの重なる選手がダブつき、持ち味の小回りの利くチーム力を現時点でそぐ結果になっている。ソフトバンクも松坂に加え、新助っ人のバンデンハークが外国人枠の問題で塩漬け状態だから、現場はむしろやりくりに頭を悩ませている。補強が結果としてマイナスに作用しているのだ。
「いまのフロントはカネを出したら勝てるという感覚が強すぎると思いますね」
とは、スクール東京最高名誉顧問で組織論が専門の成川豊彦氏。
「即戦力が欲しいというのはわかるが、補強はあくまで付録。しかも補強に失敗すれば、プラスマイナスゼロではなくて、チーム編成にひずみが出てマイナスが生じるもの。補強に頼り過ぎるのはバクチに血道を上げているのと同じことです。本来、フロントはアンラッキーを前提に補強をしないといけない。まずは人材育成という地道な努力が必要であって、そこに適材適所の補強がかみ合った時に相乗効果が表れるかどうか。育成と補強の割合は『7対3』程度が適当。補強に比重を置き過ぎて苦しんでいるチームは特に、根っこの部分をどこかで軽視しているのではないか」
本来は補強の失敗にビクともしないチームをつくるべきなのに、補強にオンブにダッコでなおかつやり方を間違っていては勝てなくて当然。大金を捨てるどころか、カネを使ってわざわざチームを弱体化させてはファンもしらけるだけだ。