口で注意も“暴力” 高校野球指導者が直面する「受難時代」
智弁学園(奈良)が初優勝を飾って幕を閉じたセンバツ。NHKの高校野球解説者を務めていた鍛治舎監督率いる秀岳館(熊本)が4強に進んで話題になった。就任2年目の好成績には敬意を表したいが、大阪の子を中心にベンチ入り全員が他県の選手という徹底ぶりである。
私が横浜高で指導している頃は「学校名が『横浜』だから、地元選手が6、7割。県外出身者は3、4割まで」という渡辺前監督の方針があり、厳守していた。
「県を代表して出場する甲子園に他県の出身者ばかりで出ても学校の宣伝にはならない」という学校側の考えだ。鍛治舎監督だってそんなことは百も承知だろう。私立校の経営はそれぞれ。思い切ったチームづくりに驚かされた。
優勝した智弁学園は3、4番の中軸打者がしっかりしていた。それ以上に目についたのが捕手の好リード。大会序盤は外角中心だったものを強気に内角を使うようになり、エースが生き返った。
優勝候補筆頭に挙げられた大阪桐蔭(大阪)は2回戦で敗退。木更津総合(千葉)の左腕・早川のボール球になる変化球を振らされ、打線に「らしさ」が見られなかった。夏は高校ナンバーワン左腕といわれる寺島擁する履正社が勝ち上がる可能性は十分あるとみる。