「切迫感がない」 日本人プロはなぜスゴみを失ったのか
「タイや韓国などは国の威信を懸け、国家プロジェクトとして世界で通用する人材を育てようとしています。それに応えるため、現状で満足している暇はありません。次を見据えて戦わなければならない。そこが日本人と外国人の根本的な違いです。日本人は国内にしか目を向けていないから、切迫感がない。守られた鎖国社会の中で食べることにはまず困りません。万が一、ゴルフで食えなくなったとしても、他の仕事はいくらでもある。ゴルフに命を懸ける必要がないのです。だから『心が折れそうになった』という安易な発言につながるのです」
かつては日本にも、スゴみを感じる選手が数多く存在した。
「家庭が貧しく、中学を卒業してそのままキャディーになった杉原輝雄など、ゴルフをするしか生きていく道がなかった。早朝から日が暮れるまで、ひたすらパットの練習を繰り返す杉原の姿を見たトップアマの中部銀次郎が、とてもかなわないと舌を巻き、プロ転向を断念したほど。並の精神力ではなかった。樋口久子にしてもテレビマッチ中、姿が見えないと思ったら、近くの練習場で寸暇を惜しんでショット練習をしていた。その道でしか生きていけない者の執念です。そういうバックボーンがあるから、一打一打に心が込められていてプレーに迫力がある。生きざまが出るのです。今の若手プロはすべてが薄っぺらい。これまで歩んできた人生が違い過ぎます」(前出の宮崎氏)
今の日本人には「本物のプロ」がいないのだから、ファンに愛想を尽かされるのも当然だ。