森岡隆三<1>「代表一丸で戦うには個々の“人間力”も大事」
大会中の復帰を目指したが、2日後の実戦練習は10分もするとしびれと痛みが襲ってくる。病院でも原因は分からず、諦めにも似た心境になった。
「もう完全に自暴自棄ですよ。リラックスしながらのゲームで伸二(小野=札幌MF)が『決めろよ』と冗談交じりにちゃちゃを入れてきた時も『うるせえ!』とキレてしまったほど。自分は、もうここから去った方がいいんじゃないか? 本気でそう思うくらい精神的に追い込まれていました」と述懐する。
夢に見た桧舞台に立てなくなった森岡をFW中山雅史(J3沼津)、DF秋田豊(解説者)、FW森島寛晃(C大阪強化部長)らベテラン勢が励ましてくれた。出場機会は少なくても、雑務を率先して手掛けながら落ち込む森岡を気遣った。
「だからこそ、チュニジア戦でモリシ(森島)が挙げた1点目はうれしかった。心の底から喜びました。あのときの経験から言えることは、改めてW杯、そしてサッカーはスタメンもベンチも含めて選手、スタッフ、チームに関わる全ての人たちが一丸となって戦うべきもの。だからこそ個々の“人間力”も大事。そういう意味で経験豊富なベテランの存在価値は高い。能活(川口=J3相模原GK)がメンバー入りした10年南アW杯もそうでした。西野(朗)新監督も、そういった部分を考えてほしいですね」