発言の真意を説明も「言い訳するな!」と火だるま…“出る杭”としてネットではオモチャに

青森山田高サッカー部を率いてJFA・U18プレミアリーグ、高校サッカー選手権、高校総体で何度も日本一に輝いた名伯楽の黒田剛監督(54)だが、2022年10月にJ2町田ゼルビアの指揮官に就任した時には「プロの選手経験もなければプロの現場も知らない。ま、お手並み拝見といくか」と冷ややかな反応が圧倒的だった。
ところがJルーキー監督が2023年シーズンでチームをJ2初優勝・J1初昇格に導いてサッカー界を震撼させ、今季J1でも快進撃を続けて前半戦を首位で折り返し、第23節終了時点でもトップを維持して優勝争いをリードしている。しかし、称賛の声と同じくらいの批判にもさらされている。ストレートな物言いが誤解を招いたり、ネット住民に発言の一部を切り取られて炎上したり……。なかなか表に出てこない実像をサッカージャーナリストが明かす。(第4回/全5回)
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ここまで町田ゼルビアと黒田剛監督の炎上ぶりを振り返ってきたわけですが、その中でも特大の炎が吹き上がった出来事が6月21日にぼっ発しました。
天皇杯2回戦の町田ゼルビアと筑波大学との一戦。開始早々、ドリブルのボールが流れた高橋大悟が、ボールをカットした相手選手にそのまま突っ込んで倒すというファウルをします。この激しさが呼び水のようになって試合は荒れた展開に。
その後、町田は前半のうちに安井拓也、チャン・ミンギュが骨折、またナ・サンホは左足関節じん帯損傷、前距腓靭帯損傷、三角靭帯損傷を負い、FW不足となったために交代せずにピッチに残ったミッチェル・デュークは左大腿二頭筋肉離れと4人のケガ人が出た上、町田はPK戦の末に敗退してしまいました。
試合後、怒りの収まらない黒田監督は「(ケガをした)3人に関してはレイトタックル。対等な(プレーでの)ファウルであれば仕方ないが、全部遅れていた。怪我人を出すことがサッカーにおいて選手生命に影響を与えるというのをきちんと指導してほしい」と筑波大とレフェリーに対して要請したのです。
さらに続く横浜F・マリノス戦後の記者会見で「町田ゼルビアは決して悪ではないですし、我々が正義であり、言いたいことは言う、良くないことは良くないと訴える」と語った。
この一連のコメントにネットはお祭り騒ぎに。筑波大に負けた後のコメントは「自業自得」「いつも自分たちがやっていること」などと叩かれ、横浜FM戦後のコメントは「自分たちが正義というのなら、筑波は『悪』なのか」と言われる始末。
筑波大に負けたあとのコメントは、負傷者が出たチームの監督なら言いたくなる台詞だろうし、何より町田がJリーグの中で特にファウルが多いというデーターはないのです。
黒田監督ならずとも「悪者」として叩かれている自チームに対して「決して悪ではない」と主張したくもなるでしょう。
その後、黒田監督は発言の真意について
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