ブラジルの敗因は“セレソンの個性”が消えたからだ
不運と一瞬のミスの2失点で敗れる。これがサッカーである。
しかし、ブラジルという国は本来、こうした劣勢をひっくり返してきたチームでもあった。
なぜ、今回はできなかったか。
■欧州育ちのジェズスは無得点
この連載で、70年代以降、ブラジルが優勝した2大会では、ロマーリオやロナウドという点取り屋がいたと書いた。
そして今大会はストライカーの背番号「9」をつけたガブリエル・ジェズスの出来が鍵になる、と。ジェズスは大会を通して無得点。ブラジル代表の9番が1点も取れなかったのは、66年のアルシンドと74年のミランジーニャ以来である。ただし2人はレギュラーではなく共に2試合の出場。ジェズスは出場5試合。9番として史上最悪の出来であった。
そしてもうひとつ。世界中の優秀な選手は欧州のトップリーグに固まっている、彼らは欧州各国リーグで経験を積み、サッカーが均一化している、とも指摘した。