大迫が2時間5分台新記録も…日本マラソンの未来に厳しい目
大迫傑(27)が現地7日のシカゴマラソン(3位)で2時間5分50秒の日本新記録を出して上機嫌だったのが、陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(62)だ。今年2月の東京マラソンで2位の設楽悠太(26)が、高岡寿成(現カネボウ監督)が02年にシカゴでマークした2時間6分16秒の日本記録を16年ぶりに5秒更新すると、8カ月も経たないうちに新たな記録が生まれた。
「逆戻りしている」とさえ言われてきた国内男子マラソンの「時計」が今年に入り、やっと前へ動き出したわけだが、日本人で初めて2時間6分の壁を破った大迫は実業団の選手ではない。
早大時代の恩師である渡辺康幸氏(現住友電工監督)の後押しもあり、実業団からスポーツメーカーのナイキが長距離選手強化を目的に設立した「ナイキ・オレゴン・プロジェクト」というチームに移籍した、いわば「留学生」だ。
渡辺氏は大迫の記録について「ナイキ・オレゴンは素晴らしいチームですが、本人の血のにじむような努力があったからこそ。正しい理論とトレーニングで、正しい方向に進んでいる証拠です」と日刊ゲンダイに語ったが、それもそのはず。このチームの選手は記録が伸びなければクビになる厳しいプロ集団だ。ちなみに、シカゴで優勝(2時間5分11秒)したのはロンドン、リオ五輪5000、1万メートルで2大会連続2冠のモハメド・ファラー(英=35)。大迫のチームメートだ。