陸連顧問が五輪に警鐘「このままでは人殺しマラソンに」
東京都監察医務院へ取材したところ、23区内の熱中症による死者数が7月以降8月8日までに110人に達しているという。国民はこの暑さを体感したことで、「東京五輪のマラソンはどうなる?」と、マスコミも騒ぎ出した。日本陸上競技連盟強化委員長、専務理事、副会長などを歴任した帖佐寛章氏(88=現・顧問)は、「東京五輪のマラソンについて、どうしても言いたいことがある」と日刊ゲンダイに連絡してきた。じっくり話を聞いた。
■1991年世界陸上は朝6時スタート
「久しぶりだな」
――ご無沙汰しております。昨年、東京五輪のマラソンについて持論を伺いましたが、またご意見があると。
「昨年はゲンダイで、『前例があるから、東京五輪のマラソンはスタート時間を朝6時にするべきだ』と言ったな。覚えているか」
――もちろんです。前例とは、91年世界陸上東京大会。男子は谷口浩美が金、女子は山下佐知子が銀でした。
「そうだ。私が運営本部長を務めた大会だ。国際陸上競技連盟(IAAF)の副会長は当初、『スタートは10時』と言った。欧米のテレビ放映時間を優先していたわけだ。日本の暑さについては知らないし、選手の体のことも考えていない。私は気温や湿度のこと、選手に与える影響などを話して説得したが、随分揉めたね。結局、IAAFの医事委員長が私の言い分を聞いてくれて、スタート時間が6時になった」