疑惑の東京五輪…贈賄裏金問題を追及できない大新聞の醜態
「今回の件では全国紙からは真実を追及しようという姿勢が伝わってこない。どこか手加減している印象が拭えない。それは東京五輪のスポンサーになっていることと決して無関係ではないでしょう。メディア本来の役割を放棄し、国民の注目度が高い五輪でとにかく部数を拡張し、利益につなげようとする思惑が透けて見える」
去る11日、仏検察当局が竹田会長の起訴に向けて本格捜査に着手したことが明らかになった際も、全国紙の反応は鈍かった。12日付の朝刊各紙を見ると、仏当局の動向を1面で大々的に報じたのは毎日と、オフィシャルパートナーではない東京のみ。読売、日経の2紙にいたっては、社会面と運動面で報じた程度である。
「読者をバカにしているとしか思えません」と憤るのは法政大学名誉教授の須藤春夫氏(メディア論)だ。
「五輪は自社で後援する一大イベントだけに、今回のように問題が起きても、批判、追及するどころか、依然として五輪を盛り上げようとする報道ばかりが目立つ。もはや、全国紙の大半は報道機関ではなく、巨費を投じてスポンサーとなり、五輪マークを自社製品の販促に利用する一般企業と何ら変わらない。新聞への不信感は年を追うごとに強くなっている。五輪に関する諸問題から目を背けるこの国のスポーツメディアは、崩壊したと言わざるを得ません」