ラグビーW杯悲願の8強 日本が打ち破った伝統国の“差別”
後半27分には、ラックの脇に倒れた田村優に、スコットランドのジェイミー・リッチーが足を出して蹴るそぶりを見せ、しかも胸に軽くパンチを当てている。瞬時に両チームの選手がエキサイトして乱闘に発展しかけたが、倒れているプレーヤーに足を出し、かつパンチを繰り出せば、最低でもイエローカードが世界の常識だ。にもかかわらず、この場面も日本にペナルティーキックが与えられただけで、カードは提示されなかった。
■8年間のハードワーク
今大会で「ティア2」と呼ばれる新興国の選手たちに容赦なく切られたカードが、伝統国のスコットランドには一枚も示されなかった。開幕直後から、海外の解説者たちが指摘している「ラグビー強国の選手と、それ以外では扱いが違う」という問題点を、改めて浮き彫りにした場面だった。
それでも日本が勝てたのは、選手たちがたくましくなったからだ。
「4年間のハードワーク」と、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は言う。しかし、4年間の強化だけでは、ここまでのたくましさは身につかない。前回大会に至るまでのハードワークがチームの骨格となり、伝統となって、勝利を下支えした。これはエディー前監督時代から続く「8年間」のハードワークが生んだ勝利なのだ。