著者のコラム一覧
永田洋光スポーツライター

出版社勤務を経てフリーになり、1988年度からラグビー記事を中心に執筆活動を続けて現在に至る。2007年「勝つことのみが善である 宿澤広朗全戦全勝の哲学」(ぴあ)でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。近著に近著に「明治大学ラグビー部 勇者の100年」(二見書房)などがある。

ラグビーW杯悲願の8強 日本が打ち破った伝統国の“差別”

公開日: 更新日:

 後半27分には、ラックの脇に倒れた田村優に、スコットランドのジェイミー・リッチーが足を出して蹴るそぶりを見せ、しかも胸に軽くパンチを当てている。瞬時に両チームの選手がエキサイトして乱闘に発展しかけたが、倒れているプレーヤーに足を出し、かつパンチを繰り出せば、最低でもイエローカードが世界の常識だ。にもかかわらず、この場面も日本にペナルティーキックが与えられただけで、カードは提示されなかった。

■8年間のハードワーク

 今大会で「ティア2」と呼ばれる新興国の選手たちに容赦なく切られたカードが、伝統国のスコットランドには一枚も示されなかった。開幕直後から、海外の解説者たちが指摘している「ラグビー強国の選手と、それ以外では扱いが違う」という問題点を、改めて浮き彫りにした場面だった。

 それでも日本が勝てたのは、選手たちがたくましくなったからだ。

「4年間のハードワーク」と、ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は言う。しかし、4年間の強化だけでは、ここまでのたくましさは身につかない。前回大会に至るまでのハードワークがチームの骨格となり、伝統となって、勝利を下支えした。これはエディー前監督時代から続く「8年間」のハードワークが生んだ勝利なのだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    岡田阪神は「老将の大暴走」状態…選手フロントが困惑、“公開処刑”にコーチも委縮

  2. 2

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 3

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  4. 4

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  5. 5

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  1. 6

    安倍派裏金幹部6人「10.27総選挙」の明と暗…候補乱立の野党は“再選”を許してしまうのか

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    79年の紅白で「カサブランカ・ダンディ」を歌った数時間後、80年元旦に「TOKIO」を歌った

  4. 9

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  5. 10

    《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド