「感染症との戦争」で愛国心を煽りたいトランプと大リーグ
3月初旬に「万全の態勢が整えられている」と強調していたドナルド・トランプが、「現在の米国は戦争状態にある」と発言したのは3月18日のことだった。
■「力強い大統領」を演出
米国疾病対策予防センター(CDC)は、2月初旬の時点で米国における新型コロナウイルスの感染の拡大が確実に起こることを警告し、十分な対策を講じることが必要であると指摘していた。それにもかかわらず2万人近い感染者と200人を超える死者が出ていることは、トランプ政権の初期の対策が不十分であったことを示している。
それだけに、トランプが新型コロナウイルスの感染の拡大を「戦争」とし、「戦時下の大統領」と名乗ることは、「初動の遅れ」を挽回するだけでなく、「力強い大統領」の像を演出しようとする思惑をほのめかす。
例えば、フランクリン・ルーズベルトは1941年に第2次世界大戦に参戦したことで世界大恐慌後の景気後退から立ち直るとともに、「有事」「戦時」を理由に史上唯一大統領に4選され、「米国史上屈指の偉大な大統領」として今も国民の尊敬を集めている。