稽古すら禁止され…“押し相撲”の貴景勝にコロナ禍は致命的
この試練に打ち勝てるか。
コロナ禍で出稽古はおろか、相撲を取る稽古すらも禁止された大相撲。中でも厳しい局面を迎えているのが大関貴景勝(23)だ。3月場所は7勝8敗で負け越し。カド番の5月場所は中止が濃厚で、それ以降の本場所開催も予断を許さない。押し相撲の貴景勝にとって、最大のネックは相撲が取れないことだ。
「四つ相撲の力士は自分の型を持っている。いかに得意の体勢に持っていき、まわしを取ったらどう攻めるか、という基本がある。それは長年の稽古で培い、体で覚えたもの。このまま相撲を取れない期間が続いても早々に忘れることはないが、押し相撲の力士はそうはいかない」(ある親方)
■押し相撲にとって実戦から遠ざかるのは致命傷
押し相撲にはこれといった型はない。相手の出方や対応次第で、臨機応変な相撲が求められる。
「突き押しのタイミングが重要な押し相撲の力士にとって、実戦から遠ざかることは致命傷です。四つ相撲のように『とにかくまわしさえ取れたら』という攻め方ができない。無理やり押そうとしても、空回りして自滅しかねません。しかも、最近の貴景勝は対戦相手に対策を練られた上で負けるケースが少なくない。大阪場所(3月)がいい例です。貴景勝は空いたスペースを利用して相手をはね飛ばす相撲。そのまま押してもよし、反撃に出てこられても突き落としがある。だから、相手はスペースをつくらないように前に前に出て、まわしを取る。こうなっては貴景勝は何もできない。もともと受けに回るともろい力士ですからね」(前出の親方)