クロマティもそうだった…助っ人はチャランポランほどいい
通算868本の本塁打を打った「サダハル・オー」の名前は大リーグでもよく知られ、尊敬されている。さすがに気が付いた同僚のレジー・スミスが「監督が話をしているのに、何だ、その恰好は!」と一喝した。すると、クロマティはガバッと起き上がった。スミスはメジャーでクロマティの先輩。17年間で314本、1092打点の名選手だった。
それでもクロマティはシュンとなるどころか、1年目に打率.280、35本、93打点を記録。8年間、巨人打線を引っ張った。
現役時代の終盤、シーズンオフになると「俺は来年、大リーグに復帰する。俺の代わりは俺が探してやるから心配するな」と言って帰国。しばらく音信がなく、フロントが心配していると、「代わりが見つかったぞ」と連絡してきた。「どんな選手だ?名前は?」と聞くと「俺だよ、俺、クロマティだよ」。
代役探しは本気だったのか。冗談だったのか。それとも年俸つり上げの作戦だったのか。フロントは振り回された。
2年連続で三冠王に輝いたランディ・バースは東京遠征に来ると、ホテルから府中へタクシーを飛ばした。東京競馬場で競馬と馬券を楽しむためだった。
技術だけでなく、アレコレ気を遣わず、上手に息抜きしてストレスを溜めない。そんな外国人選手がプロ野球では活躍するのである。
▽富岡二郎(スポーツジャーナリスト)1949年生まれ。東京都出身。雑誌記者を経て新聞社でスポーツ、特にプロ野球を担当。