大坂なおみ抗議は米スポーツ界を動かした 日本はどうだ?

公開日: 更新日:

唯一の不安材料はメンタル

 では、大坂は全米で2度目の頂点に立てるのか。「W&Sオープンでの状態を見る限り、プレーに不安はありません」と、スポーツライターの武田薫氏がこう続ける。

「体つきはこれまで以上に引き締まっており、フットワークも軽い。自粛期間中にしっかりと調整してきたことがうかがえます。課題とされたサーブも攻撃的に改良しており、ポイントを稼げるようになった。W&Sオープンでのパフォーマンスを発揮できれば、全米オープンで優勝するチャンスは十分にあると思います。唯一、不安材料があるとすればメンタル面です。今回の大坂による抗議行動は良くも悪くもテニス界で波紋を呼んでいる。全米で対戦する相手が、通路などですれ違った際に『何でウィズドロー(棄権)したの?』などとささやいて精神的な揺さぶりをかけてくることも考えられる。今大会は無観客とはいえ、周囲からの雑音も耳に入ってくるでしょう。精神的な動揺を克服して乗り越えることができれば、2度目の優勝も見えてくる」

■「テニスより重要なことがある」

 その大坂は棄権を表明した際、理由を自身のツイッターでこう述べた。

「私はアスリートである前に黒人女性だ。自分のテニスを見てもらうよりも、もっと重要なことがあると感じている」

 この思いは世界に発信され、多くの人々の賛同を得た。

 ハイチ系米国人の父を持つ大坂にとって、今回の人種差別は他人事ではなかったわけだが、こうしたアスリートの毅然たる抗議行動は日本国内ではめったに見られない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

    岡本和真と村上宗隆のメジャー挑戦に“超逆風” 大谷バブルをブチ壊したMLB先輩野手の期待外れ

  2. 2
    鈴木誠也と吉田正尚が窮地…トレード浮上も引き取り手なし、大谷フィーバーの裏で価値大暴落

    鈴木誠也と吉田正尚が窮地…トレード浮上も引き取り手なし、大谷フィーバーの裏で価値大暴落

  3. 3
    悠仁さま「オックスフォード大進学」再浮上のナゼ…昆虫標本が充実した自然史博物館の存在

    悠仁さま「オックスフォード大進学」再浮上のナゼ…昆虫標本が充実した自然史博物館の存在

  4. 4
    なぜ大谷はチャンスに滅法弱くなったのか? 本人は力み否定も、得点圏での「悪癖」とは

    なぜ大谷はチャンスに滅法弱くなったのか? 本人は力み否定も、得点圏での「悪癖」とは

  5. 5
    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  1. 6
    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」

    猛チャージ石丸伸二候補に広がる危機感…広島からは「あんなぁ都知事に押し上げちゃいけん」

  2. 7
    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

    「あぶない刑事」100万人突破で分かった…舘ひろし&柴田恭兵“昭和のスター”の凄みと刑事役の人材不足

  3. 8
    大谷への「アジア人差別感情」は球宴ファン投票にも表れ…問題の根は深く心配な今後

    大谷への「アジア人差別感情」は球宴ファン投票にも表れ…問題の根は深く心配な今後

  4. 9
    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  5. 10
    ロッテ佐々木朗希は“身内”からも嫌われた? 故障中とはいえ選手間投票でも球宴選外のトホホ

    ロッテ佐々木朗希は“身内”からも嫌われた? 故障中とはいえ選手間投票でも球宴選外のトホホ