藤川の引退発表は序章だ 阪神“大粛清”今オフついに始まる
球団が期待するコロナ禍の引退特需
それでも藤川自ら引退を申し入れたことは球団にとって「渡りに船」との見方がある。在阪の放送関係者がこう話す。
「今年はコロナ禍により、阪神は50億円以上ともいわれる大幅な収入減となる。開幕当初は無観客開催、観客動員はいまも5000人上限が続いている。甲子園球場の入場料や飲食、グッズなどの物販収入は親会社である阪神電鉄に還元されるだけに、阪神電鉄としても頭が痛い。
さらに阪神電鉄の親会社である阪急阪神ホールディングスも、コロナ禍で鉄道の利用客が減ったことなどもあって2020年4~6月期決算は実に875億円もの減収になった。そんな中で球団の大功労者で人気も高い藤川の引退を公表すれば、今季の残り試合は藤川のグッズの売り上げなども含め少なからず引退特需が見込めます」
■福留、糸井、能見も…
さらには、阪神内で懸案となっているベテランの高給取りの処遇にも波及しそうだ。前出の阪神OBが言う。
「阪神は他球団と比べてベテランへの依存度が非常に高く、それぞれに高年俸を支払っている。2億円の藤川をはじめ、43歳の福留孝介、41歳の能見篤史、39歳の糸井嘉男という4人のアラフォー選手の合計年俸は8・25億円。それでも活躍すればともかく、今季は4人揃って成績が低迷している。昨年は功労者である鳥谷敬(現ロッテ)が引退勧告を受けて退団し、メッセンジャーは引退を決断した。今年は投手のリーダー格であり、大功労者である藤川が早々と身を引くのですから、糸井らの去就に大きな影響が及ぶのは必至です」
年俸1・3億円の福留は打率・169、1本塁打、11打点。年俸4億円の糸井は打率・228、1本塁打、12打点。年俸9500万円の能見は1勝0敗、防御率5・84。矢野監督としても、実績ある高給取りは故障でもしない限り、おいそれと二軍に落とすわけにはいかない。彼らはチームを牽引するどころか、むしろ優勝の足かせになっているのだ。
「阪神は今オフ、損失を少しでも食い止めるために、選手のコストカットを進める方針。そのターゲットは必然的に大ベテランになる。今季が4年契約の最終年の糸井はもちろん、福留と能見は引退も視野に入れた話し合いが避けられないでしょう」(前出のOB)
藤川の引退発表はオフの大粛清の序章となりそうだ。