第3戦の朝、原監督は顔を合わすなり「一塁は誰がいい?」
巨人がリーグ優勝を果たした2012年、CSファイナルステージで中日に連敗スタート。アドバンテージを含め、1勝2敗と先行された。第3戦の朝、宿舎の朝食会場で岡崎郁ヘッドコーチと話し合っていた原辰徳監督は私の顔を見るや、こう言った。
「おまえだったら今日の打順どうする? ファーストに誰入れる?」
第1、2戦は亀井義行(現・善行)が入っていたが、6打数1安打と機能していなかった。「(打順)6番か7番で古城(茂幸)を一塁で使おうと思うんだけど、どう思う?」と原監督。私は「古城より(ジョン)ボウカーの方が相手は怖いんじゃないでしょうか。当たっていませんが、ボウカーを使った方がいいと思います」と正直な考えを伝えた。
ボウカーは外野手だが、一塁も守れる。
「よし、それでいこう」
そうして第3戦はボウカーが「7番・一塁」でCS初スタメン。2安打を放つ活躍を見せた。試合は敗れたが、第4、5戦も安打を放ち、10打数5安打でCS打率5割。3連敗後に3連勝したチームを牽引した。その後の日本シリーズでは第1戦に3ラン、第5戦に2ランを放つなど7打点を叩き出し、日本一に導いた。